「段階的値上げ」は有効 管理組合が全面勝訴
販売業者が「分譲」した、駐車場専用権使用料の段階的値上げは有効 ― こんな判決が昨年十一月四日、東京地裁で言い渡された。総会で議決された、現行四千円程度の使用料を四年後に近隣相場並みの四万円に引き上げる値上げ案に難色を示し、値上げ分の支払いを拒否した区分所有者らに対し、管理組合が値上げ分の支払いや総会決議の有効性の確認を求めて提訴した事件で、管理組合側が全面勝訴を収めている。判決は、分譲された専用使用権使用料の改定について正面から切り込んだとはいえない面もあるが、マンションの住民にとっては、長年の懸案事項がようやく解決された形だ。判決は確定している。
「効用、十分に還元された」
訴えを起こしたのは東京・三田の「三田第2コーポラス」管理組合。昭和四十五年の竣工で総戸数は九十六。販売時、倉庫や駐車場が「専用使用権」付きで分譲されている。
訴状等によれば、駐車場はピロティ、敷地内に十九台分設けられ、三十五万円から五十万円で譲渡された。当初の月額使用料は百円程度だったという。平成元年ごろから次第に値上げされ、平成十年ごろには屋内四千円、屋外二千八百七十円に設定されていたが、専用使用権を持たない区分所有者からは不満が絶えず、平成十六年には、「使用料の適正金額への改定」を求める要望が理事会に提出されていた。
この要望を受ける形で理事会は料金改定を検討したが、意見がまとまらず、総会では理事長が経緯を説明した上で、理事長として「段階的値上げ案」を提出。屋内駐車場の場合、四千円を六千円に値上げ。十カ月後に一万円、約二年後に一万六千円、三年後に二万六千円、四年後に四万円に改める内容だったが、賛成多数で可決された。管理組合は、当時の価格で使用権を買い取る旨も決めたが、専用使用権を持つ区分所有者の一部が、決議の有効性に異議を唱え、値上げ分の支払いを拒否するなどしたため、平成十六年十月、値上げ分の支払いと総会決議の有効性の確認を求めて管理組合が提訴していた。
区分所有者側は、「値上げを決める議案が理事会決議を経ていない」として決議の無効を主張。平成十年の最高裁判決で示された使用料の増額基準を例に「増額は不当」とする一方、増額は区分所有法三一条の「特別の影響」に当たり、専用使用権者の承諾が必要、と訴えた。
野村高弘裁判官は、決議の有効性について「管理規約上理事長単独での議案提出は予定されていない」としたが、「議案提出に際し理事会が紛糾した場合に、理事長が自らの責任で議案を提出し、総会の審議に委ねることまで禁じられているわけではない」と解釈。理事会の議決を経ずに議案を提出したのは、決議における「重大な瑕疵(かし)」には当たらない、と判断した。
使用料の増額は、まず近隣の屋外駐車場の月額賃料を四万円程度、と認定し、マンションでの賃料相場も四万円程度、と設定。「使用料の値上げは総会決議で決定できる」とした上で、権利設定以降、決議までに三十年以上が経過している点から「権利金を支払ったことによる効用は十分に還元されている」と認定。今後も低額の使用料設定を継続させるのは「他の区分所有者との間で不公平を増大させることになる」と結論付け、「社会通念上相当なものとして許される」と、決議内容を支持した。
〔(株)マンション管理新聞社発行 マンション管理新聞 第664号より抜粋〕 |