新築直後にタイル落下・大規模補修 区分所有者が訴え
訴えを起こしたのは、福岡・北九州の新築マンション(平成十一年入居)を購入した区分所有者、同居人の計六人。平成十年から十二年にかけ、マンションを購入している。
判決文によれば、マンション外壁は特注タイルで仕上げられていたが、竣工前から階段手すり部分の壁でタイルのはく離が確認され、部分的張り替えが行われていた。平成十一、十二年には、一部でタイルがはく落、その都度補修が行われる状況だった。このため平成十二年から十四年にかけ、売主によるタイル張り替え・補強工事が実施されている。
翌年の平成十五年、管理組合と売主の間で、売主が管理組合に一億円の解決金を支払う、二十年間の住宅保証を行うなどの条件で和解が成立したが、和解前の平成十三年、売主の瑕疵(かし)担保責任に基づき、資産価値の下落に伴う財産的損害、慰謝料、弁護士費用の損害賠償を求め、区分所有者が提訴。平成十六年の地裁判決は「補修工事後も資産価値の下落が存在しているとは認められない」などとして、原告の主張を全面的に退けている。
区分所有者側は、財産的損害を価格の三割、慰謝料を一人当たり五百万円と計算し、それぞれ損害賠償を請求している。
資産価値の下落については、「マンションの外壁タイルがはく離・はく落した事実は、北九州市内では周知の事実で、その結果資産価値が下落したのは明らか」と主張。新築直後にタイルが落下した事実は「『ほかにも欠陥があるのでは』という不安を人に抱かせる」と指摘した上で、「仮に現状が回復されたとしても価値の下落は明らかなのに、このマンションでは単にはく離防止の修繕をしただけで、価値の低下は少なくない」と「下落」を強調した。
慰謝料は、「瑕疵と相当因果関係のある損害である限り、その対象になる」と位置付け、一年以上に及ぶ補修工事で精神的苦痛を覚えることは当然であり、通常生じる損害として賠償請求の範囲に属する、と主張した。
売主側は、タイルのはく離個所がすべて共用部分だった点から「共用部分に基づく売主の瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求は、『共有物の管理に関する事項』で、区分所有者の集会決議で決められる」と指摘。区分所有者の「個別請求」は予定されていない、などと全面的に反論していた。
中山裁判長は、資産価値の下落に伴う財産的損害について、竣工前にタイルがはく離・はく落し、その後も被害が継続・拡大した点や入居一、二年で大規模な補修工事が行われ、工事で新築時と異なる工法が採用された点などから「購入時の住戸の経済的価値が、瑕疵がなかった場合と比べ低下しているのは否定しがたい」と認め、「売主は瑕疵の存在を知らずに合意した売買代金と、瑕疵を前提にした目的物の客観的評価額との差額に相当する経済的価値の低下分について、損害賠償責任を負わなければならない」と判断。「低下分」は補修工事中・工事後の住居売却事例を参考に、「建物価格の五%を下らない」と結論付けた。
タイルのはく離部分が共用部分だった点には、「各住戸の価値の低下分を、売主の瑕疵担保責任における財産的損害とする以上、その共用部分を共有する区分所有者の損害賠償請求が否定される理由はない」として、売主の主張を退けた。
慰謝料については「通常、タイルのはく離・はく落そのものは特段の事情がない限り、請求を相当とする事情とはいい難い」としながら、「仮に補修工事で不利益が生じたときは、売主が負う」と位置付け、工事で受けた生活被害は売主の負担で回復されるべき、として「マンションの瑕疵と慰謝料は、瑕疵による損害」と認定。売主が居住者に一定の生活支援を行ったり、管理組合に解決金を支払っている点などを考慮し、金額は二十万円から三十万円と結論付けている。
弁護士費用は、売主の瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求訴訟では、「交通事故訴訟や医事関係訴訟と同様、相当因果関係のある範囲で、売主の瑕疵担保責任による損害に含まれる」と認定。十万円から二十三万円の範囲で弁護士費用を認めた。
〔(株)マンション管理新聞社発行 マンション管理新聞 第672号より抜粋〕 |