「当然受任すべきもの」
管理組合が東京電力に変電室の明け渡しを求めていた控訴審の判決が九月十三日あり、控訴は棄却された。東京高裁・安倍嘉人裁判長は電気事業者に変電室を無償使用させることは区分所有者にとって「必要かつ合理的な負担として当然に受任すべきもの」との判断を示した。判決は確定している。
控訴していたのは東京・新宿の「ライオンズマンション西新宿第八」(築20年、51戸)の管理者。一階変電室(約14平方メートル)の変電設備を電柱に移設することで管理員室としての利用を考えていた管理組合が、東京電力に変電室の無償返還を要求。平成17年の東京簡裁の調停では不調に終わり、今年三月八日の東京地裁判決では管理組合が敗訴していた。
東京電力と分譲主が交わした「承諾書」では使用期間を「建物の存続期間とする。ただし存続期間中であっても、専用電気室として使用する必要がなくなった場合、乙(東京電力)は原状回復のうえ甲(分譲主)に返還する」と記載。
控訴審で管理組合は「承諾書の締結は売買の際、重要事項説明書に記載されていなかった」と、契約の継承を否定。しかし判決で安倍裁判長は重要事項説明書記載の有無に関わらず、「電気の供給を受けている以上、変電室を無償で使用されることは受任すべき合理的な当然の負担であるから、区分所有者としては本件使用契約の承継を否認することはできないというべき」との判断を示し、「東京電力は過去に変電室を占有しているものと認められる」とした。
また変電室の明け渡しについては、東京電力側の主張を全面的に認め、「電気供給約款上、東京電力には要求に応じるべき法的義務はない」と断定。約款上、電気の供給方法変更に際しては使用者が工事費を負担することになっており、組合が工事費の支払いを拒絶しているため「東京電力が供給方法の変更の申し入れを拒絶しているのはやむを得ない」とした。変電室を使用する必要がなくなったとの組合の主張も認めなかった。
組合側は上告断念も 「納得できる問題ではない」
一、二審とも管理組合は弁護人を立てずに本人訴訟で東京電力と争っていた。村上敬一郎理事長は「受けてくれる弁護士が見当たらず、弁護士費用も組合にとって負担になる。負けはしたが、納得のできる問題ではない。今後も他の管理組合と情報交換しながら対策を練っていく」と話している。
〔(株)マンション管理新聞社発行 マンション管理新聞 第688号より抜粋〕
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