京都・女児マンホール転落事件 京都地裁 予見性と死亡因果関係を認定
京都・4歳児マンホール転落死事故で、業務上過失致死容疑に問われた管理会社(大阪市)のフロント担当者、設備担当者、管理員の3人に対して9月26日、京都地方裁判所(増田耕兒裁判長)は管理員とフロント担当者に禁固1年、設備担当者に禁固10月、いずれも執行猶予3年を言い渡した。
この裁判では検察は「安全配慮を欠いており、過失は重大」として、3人にいずれも禁固1年6月を求刑、弁護側は「事故を予見できなかった」と無罪を主張していた。
被告3人が勤務する管理会社の副社長は「検察側の主張を全面的に認めており、とても厳しい判決。被告3人は控訴する方向で検討するのではないか」とコメントしている。
事件は平成17年6月5日、京都市内のマンションで起きた。この年の2月に雨水槽の排水ポンプが故障、予算面などから即座に交換工事が行われず、5月の総会で6月中旬の工事が決定していたが、この間、応急処置でマンホールを密閉させていたが、管理員が腰を痛めたことかから、ポンプを水中に設置したまま、排水ホースをつなぎ、マンホールを閉めていた。その際、マンホールのふたと地面の間に塩化ビニールパイプを挟んでいた。敷地内に立ち入った男児(当時5歳)と被害者の女児がそのすき間に指を入れて動かした際に、女児が転落、溺死した。
判決では、予見可能性と死亡事故との因果関係を認めた。
本件マンションは住宅地に建ち、雨水槽は通路、らせん階段、自転車置場に隣接した雑草地内にあり、柵等がないため自由に立ち入りできる。マンホールのすき間から出ていた電源コードや排水ホースに興味を持ち、児童たちが近づき、そのすき間に指を入れて持ち上げて、雨水槽内に転落、水死することは十分予見できたとして、その危険回避の注意義務を怠り、密閉せずにすき間を開けたまま作業を続けた管理員、それを容認したフロント担当者、設備担当者のそれぞれの過失を認めた。
弁護側が無罪の理由の一つとしてあげた、約2センチのすき間があってもふたの片方を持ち上げるとマンホールの凹部分とふたの凸側が引っかかって30度しか持ち上がらず、13.7キロある重いふたを開けるのは容易ではない、とした主張に対しても判決では、一方向のみに力を加えれば、反対方向のふたは相当程度軽い力で持ち上げられる、30度以上持ち上げられない構造だったとしても、凹凸のかみ合わせを外せる方法はある、として弁護側の主張を退けた。なお、量刑理由で増田裁判長は「幼い被害者が死亡した結果は重大で、両親の心痛も甚大」とした上で、「注意義務を怠った過失は明らかだが、その程度は重大とまでは言えず、被告3人は哀悼の意を表している」として執行猶予理由を述べた。
〔(株)マンション管理新聞社発行 マンション管理新聞 第720号より抜粋〕
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